Musubi: Curating unique Japan experiences for sophisticated travellers

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  • 【採択決定】観光庁「誘客多角化」富裕層に特化したコンテンツ造成と富裕層対応通訳ガイドの養成(第二次公募)

     

     

    10月5日、観光庁「誘客多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成」実証事業(第二次)に応募した。タイトルは「Farm&Dining」* 富裕層に特化したコンテンツ造成と富裕層対応通訳ガイドの養成である。

     

    7月に応募した第一次で不採択であった経緯があり、半ば諦めた感満載だったが、1週間後に、観光庁から1通のメールが届いた。

     

    内容は、一次では残念ながら不採択だったが、審査官より一定の評価があったため、二次応募への喚起を促すものだった。

     

    一定の評価があった事は事実であり、正直、嬉しかった。

     

    改善策を浮き彫りにし、残り1週間余りで、再度提案書を作成した。その作業の途中で、私が、なぜ茨城県のインバウンドツーリズムで、しかも富裕層に特化したコンテンツ造成を手がけたかを改めて知ることになった。

     

    以下、提案書の最終版には寄稿しなかった内容を敢えて残したいと思う。

     

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    Musubiが初年度、手掛けたのは、代表の故郷である茨城県でのインバウンドツーリズム造成である。そもそも魅力ある都道府県ランキング最下位を7年間継続維持する茨城県において、旅行業第2種のMusubiが、富裕層向けラグジュアリートラベル観光コンテンツを造成し始めたのには、きちんとした訳がある。

     

    (1)茨城県内の全国通訳案内士の現状
    2020年現在、茨城県通訳案内士会に所属している殆どの全国通訳案内士(約70名)は、ツアー経験が乏しい。専業ガイドは数名のみで、都内発着ツアーに偏る。他は教育関係や企業勤務で、語学の唯一の国家資格である全国通訳案内士の仕事に憧れ資格取得するも、ガイドができるツアーが居住地から最寄りの県内には無いに等しい。しかも、ツアーがない現状は、今から遡る事25年前から何も変わってはいなかった。25年前当時、大学生だったMusubi代表は茨城県主催女性起業セミナーに参加したことがある。隣席した40代の女性が偶然にも通訳案内士であり、しかし活躍できるツアーがないと嘆いていた。実は全国通訳案内士を取り巻く仕事の現状は、25年間進展していなかったことになる。この事実は悲観的であり、英語に憧れを持つ若者に、中長期的にみて、希望ある影響を与えることは大変難しい。必要なのは、富裕層向けガイド養成と研修の機会、そして彼らが活躍できるツアーの造成と旅行社Musubiによる持続可能な運営体制だと感じ、茨城県において、インバウンドツーリズムを創出する決意をした。

     

    (2)茨城県内の県内発着富裕層向けFITツアーの現状
    2019年4月日立港に茨城県初のセブンマリナークルーズが初寄港した。約20台の大型バス団体ツアーが誘客され、内18台(18名)のガイドは、株式会社Musubi代表を含め、茨城通訳案内士会からアサインして頂いた。また新治にはボヤジン経由で催行する流鏑馬ツアーがある。しかしながら、それ以外で、茨城県の全国通訳案内士が地元で活躍できる茨城県内発着の富裕層向けプライベートガイドツアーは、まだ発掘前である事が、茨城県国際観光課、つくば市、古河市、笠間市観光課との意見交換と下見調査の結果明らかとなった。全国通訳案内士がガイドとして仕事をするには、商品価格帯が高額となるため、造成するべきは富裕層向けFITツアーを考えるべきだが、県内発着型の富裕層向けFITツアーは殆ど存在しない現状がある。唯一の希望は、通訳案内士試験に合格して以来、初めてクルーズ船ガイドで県内を案内できたガイドが「本当に幸せだった」と心から喜んでくれた事だ。地元を愛するガイドが、地元を案内できる事は喜びと感謝でしかない。

     

    (3)茨城県の観光資源である「農業、農園」従事者の本音
    2019年、Musubi代表は、茨城県農政課主催「いばらきアグリCoコラボ」に旅行社として参加した。他の参加者は、農業従事者が8割、他2割は古民家体験事業者、市役所関係者、計約40名が県内各地から集まった。観光業からの視点として、全国出荷高第2位を誇る農業は、茨城県ならではの独自性であるし、具体的なツアー造成につなげたいところだが、一方で、農業従事者らの参加目的は、農業と観光を掛け合わせた集客をきっかけに農作物の販売促進をはかることだ。しかし農作物を作りながら、ツアーの企画から運営の一切を担うのは息が切れる事態で持続しない。多種の事業者が関わることにより運営が困難となるといった声も聞こえた。

     

    実際に、農泊で200人を受け入れる体制が整っている笠間市以外は、自分たちが普段の暮らしとして営んでいる農園が、どのようにしたら観光客誘客に結びつくのか分からず手を拱いているのが現状だった。しかも、インバウンドの受入については、腰が重く、ゲストとコミュニケーションが取れないのが難題だ。彼らは農業、農園のプロではあるが、観光創出と運営については、そうではない。感じたのは、観光農園ではない、ありのままの農業と共にあるスローライフ自体をゲストが体感し非日常を体験できる工夫が重要だし必要不可欠という事だった。

     

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    株式会社Musubi代表の増田恵美は、イギリスと東京に拠点を持つ富裕層向けDMCに14年勤務し、富裕層向けFIT、グループ、インセンティブ、MICEのツアー企画造成、運営責任者の経験を持つ。かつ全国通訳案内士として、欧米・中東の王室関係者、セレブリティー、芸能人、企業経営者、企業オーナー等のラグジュアリートラベラーを直々にエスコート及びガイドする経験が非常に豊富で、レ・クレドールに所属するチーフコンシェルジュとも所属するファイブスターホテルにて長年連携し仕事をさせて頂き、彼らからはツアー運営全般と通訳ガイドとして高い評価を得ている。一般的に、旅行社と全国通訳案内士は分業であるため、ラグジュアリートラベル旅行社、兼、富裕層ゲストをよく知る全国通訳案内士は稀な存在である。VVIPゲストを含む富裕層が、日本国内において、何を求め、期待し、どのような旅を好み、望まれているか、彼らの要望する旅スタイルを実現する事に尽力し、彼らからの現場の声を真摯に受け止め、自らの経験として、主要都市と地方のツアー造成とツアー運営ガイド業務に活かしてきた。

     

    特に、2017年に企画運営責任者兼ガイドとして約3週間をかけ九州から北海道までの33都道府県を桜前線に沿って走り抜けたクラシックカーツーリズム「Samurai Challenge」では、富裕層が楽しむ滞在観光コンテンツ、晩餐会でのイベント、広島、京都、東京でのバスツアー等を連日連夜提供し続けた。結果、ツアーはゲストのみならず、ツアーづくりにご協力くださった全ての関係者が喜んでくださり、感謝してくださった。関係者には、33都道府県のコンベンションビューロー、DMO、観光協会、県および市観光課、体験コンテンツサプライヤー、MICEイベントサプライヤー、汽船会社等数多くの協力連携者を含む。増田は、Samurai Challengeの第2回目企画運営全般を直々に受注したことをきっかけに2018年独立した。

     

    地方であれ、都心であれ、富裕層向けラグジュアリーコンテンツを造成すること、またそのツアーを気持ちよくオペレーションする富裕層対応通訳ガイドの仕事を継続してきたからこそ、今、その情報を取り入れてより良い観光コンテンツ造成および通訳ガイド体制を構築して行きたい方々と喜んでお仕事をさせて頂きたいと思う。

     

    代表の想いは、茨城県古河市での事例は、Musubiのための商品造成がゴールではない。その先にあるもの、に結びたかった。

     

    ※「Farm &Dining」とは

    茨城県古河市で造成した、インバウンド滞在コンテンツである。ターゲット層は富裕層。インバウンドではラグジュアリートラベルに分類される。現在、コロナ禍で国内旅行者向けにも門戸を開こうとしている。

     

    写真:坂長、恒星さんのご提供

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